学術研究の歩み
学術論文、著書、その他
1.中山幸代他:「安楽な体位の工夫 −基本的体位における枕等の物品の用い方−」、介護福祉学、9(1), p.26〜p.40, 2002
【要旨】
自分で体動が困難な高齢者や障害者は活動性が低く、安楽な体位を保つことができるかどうかは生活の質に影響する。また、褥瘡発生のリスクも高い。
本研究では、『介護技術』(5冊)と『看護技術』(9冊)のテキスト・参考書を取り上げ、基本的体位の安楽の工夫に関する記述内容を分析した。内容にはかなりのばらつきが見られ、妥当性に欠ける記述も見られた。
上記の結果を踏まえ、仰臥位、半仰臥位(30度)、半腹臥位(30度)、ギャジアップ座位(30度)における枕や毛布などの物品を用いた安楽な体位の技法を検討した。
2.中山幸代・幅田智也:「介護労働者の腰痛と移乗・移動技術の課題およびデンマークから学ぶもの」、介護福祉学、10(1), p.60〜p.67,2003
【要旨】
介護労働は、他職種に比較すると最も腰痛発症率が高い職種である。日本における介護従事者の腰痛の実態と問題について分析した結果、介護従事者の7〜8割に腰痛歴があること、厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」や「業務上疾病」などについての対策が有効に機能していないこと、重量物取扱い作業と腰痛発生のメカニズムについての理解が不十分なことなどが明らかになった。
デンマークではPer Halvor Lundeシステムと呼ばれる腰痛を予防する新しい移乗技術が開発され、専門家を職場に派遣して技術の普及を図っていた。この移乗技術は、利用者の持つリソースを利用し、持上げる代わりに、押す、引く、転がすという技術を優先して、利用者とベッドの摩擦を軽減する簡単な補助具を使用するものであった。筆者らが学んだ移動・移乗技術の一部を取り上げ、その特徴を紹介した。
3.浅井美千代・堀田美鈴「高齢者の自立支援を目指した移動・移乗技術の検討(その1)−北欧の新しい方法と日本の看護方法との比較を基に−」第35回日本看護学会論文集(老年看護)、p.61〜p.63,2004
【要旨】
わが国の看護における移動・移乗の援助技術は、患者の安静を重視し、看護者による移動・移乗が中心とされ、「持ち上げる」または「引き上げる」方法が多く用いられている。北欧では近年、援助者の腰痛防止を目的に、これまでの移動・移乗技術を再検討し、ペヤ・ハルヴォール・ルンデ・システムと呼ばれる方法が開発された。本研究においては、北欧の新しい移動・移乗技術と日本の看護技術の指導書とを比較検討した。その結果、北欧の移動・移乗技術は、患者ひとり一人の動きをみて、ボディメカニクスの原則をどのように活用すれば患者を楽に動かすことができるか、その時々の状況に合わせて工夫していたが、日本における看護技術書においては、持ち上げないよう注意を促してはいるが、持ち上げずに移動するための具体的方法が示されておらず、実際的には旧来から行ってきた持ち上げる方法になることが示唆された。
4.ペヤ・ハルヴォール・ルンデ著 中山幸代/幅田智也監訳 和子・マイヤー訳『移動・移乗技術の知識と技術 援助者の腰痛予防 と患者の活動性の向上を目指して』中央法規出版、222頁、2005
【要旨】
本書は、北欧で広く活用されている移動・移乗技術の考案者であるペヤ・ハルヴォール・ルンデの著書を翻訳したものである。本書に示された移動・移乗技術は、「利用者の自立を支援」し、「介助者の腰痛を予防」を図るものである。
本書の構成は下記の10章からなる。
- 第1章 序文
- 第2章 移動・移乗技術とは何か
- 第3章 患者への配慮
- 第4章 ケア従事者への配慮
- 第5章 作業姿勢、つかみ方、補助機器
- 第6章 ベッド−患者と介助者の中心となるもの
- 第7章 方法−移動・移乗技術をどのように使用するか
- 第8章 よい移動・移乗動作の提案
- 第9章 患者の訓練の専門的基盤となる移動・移乗分析
- 第10章 組織作りと指導
5.中山幸代「移動・移乗技術に伴う腰痛発症の危険性の検証及び変革への課題」『第一福祉大学紀要3号』 67-79、2006
【要旨】
本稿では、持ち上げ技術とPer Halvor Lundシステムを比較し、日本の移動・移乗技術の変革の必要性について検証を行った。2001年コペンハーゲンの労働環境研究所は、従来の持ち上げ技術と、移動・移乗技術(Per, H. L.の提唱する技術)を比較した結果、介助者の身体的な負荷に明白な差が出ることを実証的に証明した。背腰部の負担は、腰椎の圧迫力を計ることによって調査するが、米国労働環境研究所NIOSHはこの圧迫力が3400Nを越えないようにと勧めている。持ち上げ技術による最高圧迫力は、人をすっかり立ち上がらせる時、即ちベッドの端に座っている患者を立ち上がらせる作業時と(圧迫力約4100N)、患者を車椅子の奥に深く座らせる時(圧迫力約4500N)に見られた。
この報告にある持ち上げ技術は、日本の介護・看護のテキストに載っており、広く現場に普及している技術である。このことから、日本の移動・移乗技術の変革の必要性を指摘した。
6.ベヤ・ハルヴォール・ルンデ監修 移動・移乗技術研究会編集協力 『看護・介護職のための”持ち上げない”移動・移乗技術』DVD版、VHS版、中央法規出版、2006
【要旨】
このDVDは、ペヤ・ハルヴォール・ルンデが出演し、その技術の思想と原理、基本的な技術の紹介をわかりやすく紹介している。内容は下記の構成からなる。
- 技術の基本原理
- 利用者に合わせた介助方法の選択
- 持ち上げる動作の限界
- 基本的な技術の紹介
- ベッド上の移動(上方への移動)
- ベッド上の移動(横への移動)
- 仰臥位から側臥位へ
- 側臥位から端座位へ(ギャジベッドの場合)
- 仰臥位から端座位へ(低いベッドの場合)
- ベッドから車いすへ(モジュラー型車いすを使用)
- 車いすからベッドへ(モジュラー型車いすを使用)
- ベッドから車いすへ(標準型車いすを使用)
- 車いすからベッドへ(標準型車いすを使用)
- 座位姿勢の調整(車いす上)
7.研究代表者:中山幸代 研究分担者:浅井美千代、小櫃芳江、西方規恵、川元克秀 研究協力者:堀田美鈴、関根良子「ケア従事者の腰痛を防ぐ北欧の移動・移乗技術の効果の検証及び普及に関する研究」
『平成17年度〜平成19年度科学研究費補助金(基盤研究(c)研究成果報告書』 A4版 p.1〜152 2008
【要旨】
3年間に亘る科学研究費の研究成果を、(1)Per Halvor Lundeの思想と技術の啓蒙活動、(2)国保立成東病院における研修の取り組み、(3)計量縦断調査データを基にした『持ち上げない移動・移乗技術』の効果の検討、(4)スライデングシート「するーと」の開発と商標登録、の視点でまとめた。
8.中山幸代、小櫃芳江、西方規恵、関根良子「持ち上げない移動・移乗技術」の普及への取り組みと課題『介護福祉教育』 第14巻第2号 p.25〜32 2009
【要旨】
科学研究費を得て、2年半に亘る協同研究を経て国保立成東病院の看護部が、「持ち上げない移動・移乗技術をどのように定着させていったのかを検証するために、インタビューと病院見学を行い、技術を定着させる要件と課題を明らかにした。
9.中山幸代「ワンテーマVOICE 腰痛対策『北欧の持ち上げない移動・移乗技術を用いて』」『おはよう21』 第20巻第13号 p.28 2009
【要旨】
腰痛で悩む介護現場へのメッセージとして、北欧の移動・移乗技術を紹介した。
10.中山幸代「腰痛知らずの介護技術指導講座 押す・引く・回転させる 北欧の持ち上げない移動・移乗技術 ベッド上での姿勢変換」『介護人材育成』第8巻第1号 P32〜37 2011
【要旨】
介護者の腰痛予防に向けて北欧の移動・移乗技術を紹介する3回シリーズの1回目。北欧の技術の思想や基本原理と、基本的な移動技術である上方移動、仰臥位から側臥位や端坐位への移動方法を紹介。
11.西方規恵「腰痛知らずの介護技術指導講座 押す・引く・回転させる 北欧の持ち上げない移動・移乗技術 ベッドと車いすの間を移乗する」『介護人材育成』第8巻第2号 2011
【要旨】
介護者の腰痛予防に向けて北欧の移動・移乗技術を紹介する3回シリーズの2回目。介護現場で実践される頻度の高い、車いすへの移乗方法と椅子に深く座らせる方法を紹介。
12.浅井美千代「腰痛知らずの介護技術指導講座 押す・引く・回転させる 北欧の持ち上げない移動・移乗技術 ストレッチャーへの移乗・褥創がある場合・認知症利用者の場合」『介護人材育成』第8巻第3号 P44〜50 2011
【要旨】
3回シリーズの最終回。入浴介助時に活用可能なストレッチャーへの移乗、介護現場で悩むことの多い褥創がある場合の移動や認知症利用者への対応のポイントを紹介。
13.移動・移乗技術研究会編集「今日から実践!“持ち上げない”移動・移乗技術」中央法規出版、126頁、2012
【要旨】
本書は、ルンデ氏が考案した技術の思想と理論、介護現場で実践する頻度の高い移動・移乗技術について写真や絵を用いて解説した実技本である。本書では、移動・移乗の介助方法を選択する際のアセスメントポイントや、技術を実践する際のポイントを示した。
- 第1章 ペヤ・ハルボール・ルンデ氏の技術の思想と理論
- 第2章 ベッド上での移動(上方へ移動する、横へ移動する)
- 第3章 仰臥位から側臥位
- 第4章 起き上がりと立ち上がり(仰臥位から端座位になる、立ち上がりとその介助)
- 第5章 座る(車いすに座る、座りなおし)
- 第6章 移乗(ベッドと車いす間の移乗、ベッドとストレッチャー間の移乗、リフトの利用)
14.中山幸代「滑る力が自立心を促す在宅でも取り入れて」『月刊ケアマネジメント』環境新聞社 2012年6月号 p.26〜p.29
【要旨】
在宅でも生かせる“持ち上げない”介護。スライディングボードやスライディングシートを使えば介護者・利用者双方が楽になる。「滑る力」が利用者の自立心を促す。活用のコツを分かりやすく説明。。
15.『おはよう21』に「実践! 持ち上げない移動・移乗技術の介助」を1年間連載
【要旨】
中央法規出版の雑誌『おはよう21』に、テーマに従い研究メンバーが分担執筆し、ペヤ・ハルヴォール・ルンデの思想と具体的な技術を1年間にわたり紹介した。
| (1) | 中山幸代 | 第1回 | 「『持ち上げない移動・移乗技術』とは?」2012年12月号 p.52〜p.55 |
| (2) | 中山幸代 | 第2回 | 「ペヤ・ハルヴォール・ルンデの技術の思想と理論」2013年1月号 p.52〜p.55 |
| (3) | 中山幸代 | 第3回 | 「ベッド上で上方に移動する」2013年2月号 p.52〜p.55 |
| (4) | 関根良子 | 第4回 | 「ベッド上で横に移動する ベッドの中央で寝返る」2013年3月号 p.52〜p.55 |
| (5) | 小櫃芳江 | 第5回 | 「ルンデの思想を活かす福祉用具」2013年4月号 p.52〜p.55 |
| (6) | 浅井美千代 | 第6回 | 「ベッド上で起き上がり、ベッドの端に腰かける」2013年5月号 p.52〜p.55 |
| (7) | 増田いづみ | 第7回 | 「立ち上がり、ギャッジアップの背抜き」2013年6月号 p.52〜p.55 |
| (8) | 西方規恵 | 第8回 | 「ベッドと車いすの間を移乗する」2013年7月号 p.52〜p.55 |
| (9) | 西方規恵 | 第9回 | 「ベッドと車いすの間を移乗する�◆�2013年8月号 p.52〜p.55 |
| (10) | 冨田川智志 | 第10回 | 「ベッドと車いすの間を移乗する��」2013年9月号 p.52〜p.55 |
| (11) | 浅井美千代 | 第11回 | 「ベッド上とストレッチャー間を移乗する」2013年10月号 p.52〜p.55 |
| (12) | 冨田川智志 | 最終回 | 「リフトを利用して移乗する」2013年11月号 p.52〜p.55 |
16.中山幸代「持ち上げない移動・移乗技術」『ふれあいケア』全国社会福祉協議会 2013年12月号 p.12〜p.17
【要旨】
厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」の改訂を踏まえ、本号では「適切な移乗・移動の介護〜利用者が安心できる技術〜」の特集を組んでいる。利用者を「持ち上げない」適切な移乗・移動の介護の技術として、ペヤ・ハルヴォール・ルンデの理論と代表的な技術を紹介した。
17.中山幸代・西方規恵・冨田川智志「介護ベッド(特殊寝台)などでよくある介護事故およびヒヤリ・ハットの要因と対策」『高齢者安心安全ケア実践と記録』日総研2016年9・10月号 p.34〜p.39
【要旨】
介護ベッドと介護ベッドの付属品は、利用者と介護者双方にとって極めて重要で身近な福祉用具である。しかし、福祉用具による高齢者の事故では、介護ベッドによる事故が最も多く、死亡・重傷などの重篤な被害が発生している。また、ヒヤリ・ハットの事例も多い。本稿では、ベッドと補助用具の正しい使用方法と、安全への取り組みについて述べた。
18. 中山幸代・冨田川智志「スムーズ&安全に!移動・移乗のケアに生かす腰痛予防策とアセスメントの視点」『高齢者安心安全ケア実践と記録』日総研2016年11・12月号 p.28〜p.33
【要旨】
介護・看護現場では、腰痛予防が喫緊の課題となっている現状を分析し、厚生労働省が示す腰痛予防対策について、各職場で組織的に取り組む必要性を述べた。また、ルンデの理論を紹介し、腰痛予防対策には、正確なリスクアセスメントを行い、利用者と介助者双方に配慮した移動・移乗方法の選択が重要となることを論じた。
19. 中山幸代「安全な移動・移乗技術」『高齢者安心安全ケア実践と記録』日総研2018年3・4月号 p.26〜p.32
【要旨】
第13次労働災害防止計画では、「社会福祉施設については、腰痛予防のため、安全衛生教育の徹底だけでなく、介護機器等の導入促進も併せて行う」ことを打ち出している。本稿では、「職場定着支援助成金」の制度を活用した介護福祉機器の導入の必要性と職場における継続的な事例検討の重要性を述べ、福祉用具を活用した安全な「持ち上げない移動・移乗技術」を紹介した。
20. 冨田川智志「介護労働現場における腰痛予防対策の制度の現状と課題―介護福祉士養成課程における腰痛予防のための労働衛生教育の意義―」『地域ケアリング』第19巻第4号 2017 p.83〜p.88
【要旨】
近年日本では、介護人材不足が深刻化している。介護職離れの主原因に「腰痛」があるが、厚生労働省は「第12次労働災害防止計画」を公示し、「職場における腰痛予防対策指針」を改訂、「職場定着支援助成金」を設けるなど、様々な対策を講じている。しかし、社会福祉施設における労働災害は増加し続けている。そこで筆者は、介護労働現場のみでなく、就業前教育である介護福祉士養成課程においても労働衛生の視点をおいた腰痛予防教育を構築する必要があると考え、研究に取り組んでいる。本誌では、介護福祉士養成課程における上記教育の必要性を提言する背景を概説している。
21. 冨田川智志「日本におけるスタンディングマシーンの普及と定着に向けて〜福祉用具情報システムTAISの課題〜」『地域ケアリング』第19巻第11号 2017 p.94〜p.96
【要旨】
厚生労働省は「職場における腰痛予防対策指針」において、対象者が立位保持できる場合はスタンディングマシーン(以下、StdM)等の使用を含め、対象者に適した移乗介助を行うよう指導している。しかし、日本におけるStdMの導入や研修は少なく、国内での研究は見当たらない。そこで、福祉用具情報システムTAISに掲載されているStdMに関する情報を分析した。その結果、StdMに関する情報発信として、ほとんどの機種で介護者の負担軽減を強調した掲載となっており、どのような対象者に対してどの分類の機種が適合するのか、StdMの活用によって対象者にどのような効果をもたらすのかといった重要な選定指標となる掲載は希薄であることを明らかにしている。
22. 冨田川智志「介護福祉士養成課程におけるスタンディングマシーンを使った「移動・移乗の介護」教育の現状と課題」『地域ケアリング』第20巻第2号 2018 p.68〜p.71
【要旨】
厚生労働省は「職場における腰痛予防対策指針」において、対象者が立位保持できる場合はスタンディングマシーンなどの使用を含め、対象者に適した移乗介助を行うよう指導している。そこで本稿では、介護福祉士養成課程においてスタンディングマシーンを使用した「移動・移乗の介護」教育がどの程度行われ、どの程度必要と感じているのか現状を把握し、課題を抽出することを試みた。 結果、介護福祉士養成施設(学校)に対する「職場における腰痛予防対策指針」内容の周知徹底と理論と実践を構造的に学べるような体制構築の必要性が示唆された。
23.冨田川智志「介護福祉士養成課程における労働衛生の視点に基づいた腰痛予防のための「移動・移乗の介護」教育の現状」『地域ケアリング』第20巻第6号、2018、p.86〜p.89
【要旨】
厚生労働省は「職場における腰痛予防対策指針」において、事業主に対し、腰痛予防のための労働衛生教育を実施するよう指導している。介護福祉士養成教育においても早急に労働衛生の視点に基づいた腰痛予防に関する教育を構築する必要があると考え、介護福祉士養成課程における労働衛生の視点に基づいた腰痛予防のための「移動・移乗の介護」教育の現状を把握し、課題を抽出することを試みた。結果、「移動・移乗の介護」教育において、労働衛生の視点に基づいた腰痛予防に関する理論と実践が直感的に繋がる体制構築の必要性が示唆された。本研究は、JSPS科研費(若手研究(B)課題番号15K17240)を受けた研究成果の一部である。
24.冨田川智志「高齢者施設における立位補助機の導入が介護労働者の作業負担に与える影響」『大阪ガスグループ福祉財団 調査・研究報告集』第31巻、2018、p.105〜p.112
【要旨】
高齢者施設に立位補助機を導入し、立位補助機の導入による介護労働者の作業負担への影響を検証した。その結果、立位補助機の導入によって身体的負担感で軽減が認められた一方、精神的負担感は軽減が認められず、立位補助機の積極的な使用に繋がっていなかった。要因として、立位補助機の操作性や所要時間、適用利用者の選定基準・判断の難しさ、リフト本体の使用環境等が影響していることが明らかとなった。本研究は、大阪ガスグループ福祉財団「平成28年度 高齢者の福祉および健康づくりに関する調査・研究助成」を受けた研究成果である。
25.冨田川智志「介護老人福祉施設でのスタンディングマシーンの導入が介護労働者の作業負担に与える影響」『京都女子大学生活福祉学科紀要』第14号、2019、p.65〜p.70
【要旨】
本研究では、スタンディングマシーンを介護老人福祉施設に導入し、スタンディングマシーンの導入が介護職員の作業負担に与える影響を調査した。その結果、スタンディングマシーンの導入によって心拍数が経時的に減少していた。活動強度は、最大値は対象者全員が導入後に減少する傾向にあったものの、75%ile値、25%ile値、最小値が横ばい傾向であった。今後として、導入前に労働衛生の視点をおいた腰痛予防への変革を果たす十分な指導が必要であることが示唆された。本研究は、大阪ガスグループ福祉財団「平成28年度 高齢者の福祉および健康づくりに関する調査・研究助成」を受けた研究成果の一部である。
26.日総研出版『介護人財』に「北欧の持ち上げない!安全・快適トランスファー」を連載
【要旨】
この雑誌の連載内容は、日総研出版の「北欧の持ち上げない! 安全・快適トランスファー」のDVDにリンクして、「Web連動の部屋」からDVDの動画を視聴することができる。このため、ルンデの理論と技術がより分かりやすく理解できるように工夫されている。
| 第1回 | 中山幸代 | 「持ち上げる動作の限界を知ろう」2019年9・10月号 p.64〜p.66 |
| 第2回 | 浅井美千代 | 「ベッド上での「上方移動」「側方移動」「寝返りの介助方法」」2019年11・12月号、p.69〜p.73 |
| 第3回 | 中山幸代 | 「褥瘡のある利用者への移動介助と褥瘡予防の小枕の移動」2020年1・2月号 p.72〜p.75 |
| 第4回 | 西方規恵 | 「仰臥位から端座位」2020年3・4月号 p.68〜p.70 |
| 第5回 | 西方規恵 | 「ベッドからストレッチャーへの移動」2020年5・6月号 p.79〜p.81 |
| 第6回 | 冨田川智志 | 「「ベッドから車いすへの移乗」と「車いすに深く座る」介助方法」2020年7・8月号 p.73〜p.77 |
| 第7回 | 冨田川智志 | 「「車いすからトイレへの移乗」と「標準型車いす使用者のベッドから車いすへの移乗」介助方法」 2020年9・10月号 p.68〜p.72 |
27.冨田川智志「介護福祉士養成課程におけるノーリフティングケアの視点に基づいた教育体制の構築に向けて ―単元「移動・移乗の介護」の現状と課題―」『地域ケアリング』第21巻第4号、2019、p.74〜p.77
【要旨】
現在日本では、対象者の自立・自律、対象者と介護労働者の健康・安全のための介護「ノーリフティングケア」の関心が高まっている。介護福祉士養成教育においても早急にノーリフティングケアの視点に基づいた「移動・移乗の介護」教育を構築する必要があると考え、介護福祉士養成課程における単元「移動・移乗の介護」の現状を把握し、課題を抽出することを試みた。結果、ノーリフティングケアの視点に基づいた理論と実践、設備が希薄であることが示唆され、ノーリフティングケアの理論と実践を直感的に学べ、習得できるような抜本的な改革が必要であると考える。
本研究は、JSPS科研費(若手研究(B)課題番号15K17240)を受けた研究成果の一部である。
28.冨田川智志「介護福祉士養成教育において「ノーリフティングケア」をスタンダードとするために ―移動・移乗補助具/機器を使った演習の必要度と設置数の有意差―」『地域ケアリング』第21巻第9号、2019、p.54〜p.58
【要旨】
現在、日本各地で「ノーリフティングケア」による様々なグッドプラクティスが報告されており、介護労働現場で広がりを見せている。介護分野全体として効果的な腰痛予防対策を講じていくには、就業前教育においてもノーリフティングケアをスタンダードとする教育体制を構築する必要があると考えた。そこで本研究では、介護福祉士養成教育に着目し、単元「移動・移乗の介護」担当教員のノーリフティングケアに対する意識と移動・移乗補助具/機器の設置状況から、課題を抽出することを試みた。結果、ノーリフティングケア教育の体制づくりと担当教員のノーリフティングケアの視点への変革が必要であることが示唆された。
本研究は、JSPS科研費(若手研究(B)課題番号15K17240)を受けた研究成果の一部である。
29.冨田川智志「介護福祉士養成課程における「職場における腰痛予防対策指針」に基づいた労働衛生及びノーリフティングケア教育の必要性」『地域ケアリング』第21巻第11号、2019、p.99〜p.103
【要旨】
現在、「職場における腰痛予防対策指針」の遵守によって日本各地で様々なグッドプラクティスが報告されており、介護労働現場で広がりを見せている。介護分野全体として効果的な腰痛予防対策を講じていくには、就業前教育においても職場における腰痛予防対策指針に基づいた労働衛生教育体制を構築する必要があると考えた。そこで本研究では、介護福祉士養成教育に着目し、単元「移動・移乗の介護」担当教員の上記腰痛対策指針と各労働衛生に関する内容との意識(重要度)の関連性を分析し、課題を抽出することを試みた。結果、職場における腰痛予防対策指針の周知・徹底と実効性を伴う支援の必要性が示唆された。
本研究は、JSPS科研費(若手研究(B)課題番号15K17240)を受けた研究成果の一部である。
30.冨田川智志「介護福祉士養成課程における「ノーリフティングケア」教育の現状と課題 ―介護労働現場の労働衛生の水準が向上するために―」『京都女子大学生活福祉学科紀要』第15号、2020、p. 31〜p.37
【要旨】
本研究は、介護福祉士養成課程におけるノーリフティングケア教育の現状と職場における腰痛予防対策指針に基づく労働衛生への意識の把握及び課題を明らかにすることを目的として調査したものである。調査の結果、介護福祉士養成課程においてノーリフティングケアや労働衛生の視点に基づいた教育を展開するためには、それらの理論と実践が直感的に学べ、習得できる教育体制づくりと、担当教員への意識変革が必要であることが示唆された。そのためには、介護福祉士養成教員の知識・技術の向上、国・介護教育・学術団体による労働衛生及びノーリフティングケアの教育に関する方針の明確化が早急に求められる。
本研究は、JSPS科研費(若手研究(B)課題番号15K17240)を受けた研究成果の一部である。
31.『ふれあいケア』に「持ち上げない移動・移乗技術〜利用者の腰痛予防と利用者の自立支援〜」を1年間連載
【要旨】
全国社会福祉協議会の雑誌『ふれあいケア』に、研究メンバーがテーマ別に分担執筆し、ペヤ・ハルヴォール・ルンデの思想と具体的な技術を1年間にわたり紹介した。
| 第1回 | 中山幸代 | 「ペヤ・ハルヴォール・ルンデの思想と理論」 2020年5月号 p.36〜p.37 |
| 第2回 | 浅井美千代 | 「ベッド上での上方移動」 2020年6月号 p.36〜p.37 |
| 第3回 | 浅井美千代 | 「ベッド上で側方に移動する」 2020年7月号 p.36〜p.37 |
| 第4回 | 中山幸代 | 「仰臥位から側臥位になる(寝返る)」 2020年8・9月号 p.34〜p.35 |
| 第5回 | 中山幸代 | 「褥そうのある人への移動方法と褥そう予防の小枕の移動」2020年10月号 p.34〜p.35 |
| 第6回 | 西方規恵 | 「ベッドをギャッヂアップし、側臥位から端座位にする」2020年11月号 p.34〜p.35 |
| 第7回 | 西方規恵 | 「仰臥位方端座位への介助(介助者がベッドに腰かけて行う方法)」2020年12月号 p.34〜p.35 |
| 第8回 | 冨田川智志 | 「ベッドから車いすへの移乗」 2021年1月号 p.34〜p.35 |
| 第9回 | 冨田川智志 | 「ベッドから車いすへの移乗(介助用ベルトの活用)」 2021年2月号 p.36〜p.37 |
| 第10回 | 冨田川智志 | 「車いす上での座り直し」2021年3月号 p.36〜p.37 |
| 第11回 | 冨田川智志 | 「ベッドからストレッチャー、ティルト等車いすへの移乗」 2021年4月号 p.36〜p.37 |
32.冨田川智志「介護福祉士養成課程における移動・移乗補助具/機器を使った教育内容と演習の必要性に対する意識の関連 ―「ノーリフティングケア」教育の構築を目指して― 」『地域ケアリング』第23巻第3号、2021、p.85〜p.89
【要旨】
わが国では、保健衛生業における業務上腰痛の発生が年々増加している。介護分野全体として効果的な腰痛予防対策を講じていくには、就業前教育において「ノーリフティングケア」教育を構築する必要があると考えた。
そこで本研究では、介護福祉士養成教育に着目し、単元「移動・移乗の介護」担当教員の移動・移乗補助具/機器を使った教育内容と演習の必要性に対する意識の関連性を分析した。
結果、移動・移乗補助具/機器を使った介助方法の演習の必要性を感じている養成課程では、それらの技術の習得を目指して演習を行っていることが示された。
本研究は、JSPS科研費(若手研究(B)課題番号15K17240)を受けた研究成果の一部である。
33.冨田川智志「介護福祉士養成課程における移動・移乗補助具/機器を使った演習の必要性に関する主観的評価と福祉用具関連業者への協力依頼状況との関連 ―「ノーリフティングケア」教育の質向上を目指して―」『地域ケアリング』第23巻第6号、2021、p.84〜p.88
【要旨】
わが国では、保健衛生業における業務上腰痛の発生が年々増加している。介護分野全体として効果的な腰痛予防対策を講じていくには、「ノーリフティングケア」教育体制を構築する必要があると考えた。本研究では、介護福祉士養成課程における移動・移乗補助具/機器の整備状況、上記用具等を使った演習の必要性に関する主観的評価と福祉用具関連業者への協力依頼状況との関連を分析した。
結果、介護福祉士養成課程の教育環境はノーリフティングケアの理解を深めるには不十分な整備状況であり、養成課程間で用具等を使った演習の質に差が生じている可能性が示唆された。
本稿は、JSPS科研費(若手研究(B)課題番号15K17240)を受けた研究成果の一部である。
34.冨田川智志「入浴用リフトを使用した入浴介助における作業関連性筋骨格系障害予防・軽減策の検討 ―介助時の身体的負担感と介助後の身体的・神経的疲労感の関連―」『地域ケアリング』第23巻第13号、2021、p.85〜p.89
【要旨】
作業関連性筋骨格系障害(WRMSDs)は、介護・医療従事者に多く見られている。WRMSDsは多要因であることから、様々な要因に焦点を当て、局所的にWRMSDsのリスク要因を特定することが求められるものと考えた。そこで本研究では、入浴用リフトを使用した入浴介助において身体的負担感がある場面とその部位、介助場面別の身体的負担感と入浴介助後の身体的・神経的疲労感との関連を分析した。
結果、静的負荷が常時かかる介助場面において身体的負担感を感じており、特に腰部の負担感が多いこと、重量負荷および静的負荷の高さは、入浴介助後の身体的・神経的疲労感と関連する可能性が示唆された。
35.冨田川智志「入浴用リフトの導入による頸肩腕障害および腰痛予防・軽減の効果 ―介護労働者の主観評価の分析―」『地域ケアリング』第24巻第2号、2022、p.60〜p.64
【要旨】
作業関連性筋骨格系障害は介護・医療従事者に多く発生している。入浴介助は介護業務の中でも特に身体的負荷が高い業務であるが、移動・移乗支援用具/機器を活用した入浴介助時の身体的負担に関する研究は極めて少ない。そこで本研究では、入浴用リフトを導入した入浴介助の頸肩腕障害および腰痛予防・軽減効果を分析した。
結果、入浴用リフトを活用することで浴槽―シャワーキャリー間の移乗介助時にかかる「くび・肩」「手首・腕」「腰」への負荷を著しく減らせる可能性が示唆された。一方、移乗介助以外の場面では具体的対策を検討する必要性も示唆された。
学会報告
- 小櫃芳江、関根良子、西方規恵、中山幸代「利用者が活性化する介護技術(1)立ち上がり−北欧の移動・移乗技術の思想からの考察−」第11回介護福祉教育学会要旨集、p.122〜p.123, 2004
- 浅井美千代、堀田美鈴、中山幸代他「患者の活動を活性化し看護・介護者の腰痛予防をめざした移動・移乗技術研修会の評価と課題−A病院における研修会参加者へのアンケート調査を基に−」第37回日本看護学会要旨集(管理看護)、p.163,2006
- 中山幸代、浅井美千代、小櫃芳江、川元克秀、関根良子、西方規恵、堀田美鈴「利用者の活動性を高め介助者の腰痛予防を目指す移動・移乗技術−技術の有効性と普及への課題−」、第14回日本介後福祉学会大会要旨集、p.135,2006
- 西方規恵、中山幸代、小櫃芳江、関根良子「利用者が活性化する介護技術(2)持ち上げない移乗介助−持ち上げない移乗介助をどのように教えるかの一方法−」、第13回介護福祉教育学会要旨集、p.83, 2006
- 川元克秀、中山幸代、小櫃芳江、浅井美千代、西方規恵、堀田美鈴、関根良子、長谷部雅美 「『持上げない移動・移乗技術』の効果;地域の中核病院での縦断調査結果をもとにした技術普及の阻害要因と技術の効果の検証」、第15回日本介護福祉学会大会要旨集、p.87, 2007
- 川元克秀、中山幸代、小櫃芳江 浅井美千代 西方規恵 堀田美鈴 関根良子、長谷部雅美 「持上げない移動・移乗技術」の効果(その2);地域の中核病院での縦断調査結果をもとにした介助者への技術実践の効果の検討」、第16回日本介護福祉学会大会要旨集、p.92, 2008
- 中山幸代 関根良子、西方規恵「北欧の持ち上げない移動・移乗技術 〜利用者の自立支援と介助者の腰痛予防〜」日本老年行動科学会第12回大会 ワークショップ 2009
- 中山幸代、関根良子、西方規恵、小櫃芳江、浅井美千代、冨田川智志、社会福祉法人恵仁福祉協会アザレアンさなだ、社会福祉法人かりがね福祉会「持ち上げない移動・移乗技術の効果と普及への課題〜介護者の腰痛防止と利用者の自立支援に向けての試み〜」日本老年行動科学会第14回大会、実践発表、2011
【要旨】
高齢者・障害者福祉施設の職員を対象に「持ち上げない移動・移乗技術」の研修を4回実施し、1年間に亘る研修会を振り返り座談会を実施した。「技術がどう生かされているか」については、スライディングシートによる移動、トランスファーボードによる移乗が多くあげられた。「実践が難しい技術」としては、トランスファーボードの不足やボードによる移乗の難しさがあげられた。「職場全体で取り組む工夫」としては、研修会の内容を全体会議で報告する、伝えても慣れたやり方がある、力に頼っているため受け入れてもらえない、といった意見があった。「技術の導入による意識改革・介護者の視点」では、介護者の安心が利用者の安心につながっている、利用者の力を奪っていたことに気づいた、待つことができるようになった、職員全体が優しくなったなどがあがった。「利用者からの反応」では、楽になったとの声がある、自分で動こうとするようになったなどがあがった。「今後の普及への課題」としては、施設同士の交流、法人全体で取り組む(組織内の実践発表により意識の変化が生まれた)、内部伝達講習会、指導者を育てる、自分がやられたら嫌といった意識を育てるなどであった。
- 冨田川智志、中山幸代、関根良子、西方規恵、小櫃芳江、浅井美千代、社会福祉法人恵仁福祉協会アザレアンさなだ、社会福祉法人かりがね福祉会「持ち上げない移動・移乗技術の効果と普及への課題〜P.H.Lシステムの研修効果の検証〜」日本老年行動科学会第14回大会、2011
【要旨】
「持ち上げない移動・移乗技術」研修会の参加者を対象に、質問紙調査(計4回)の回答の特性による本研修の効果を検証した結果、研修会内容の関心度は、各回「とても関心があった」が最も多く、参加理由は「腰痛を有している」「腰痛の不安がある」が多く、回を重ねる毎に「前回の研修の学びの大きさ」との回答が増えていた。また、研修会に対する期待への評価は、各回「とても、期待にこたえる内容だった」が最も多く、研修会の感想・意見は、「介助者・利用者双方に楽である」「自然な動きの理解とアセスメントの重要性」「答えは一つではない」が多かった。福祉用具の使用率は、「ビニール」「スライディングシート」「トランスファーボード」が回を重ねる毎に高くなっていた。
この調査は、A県「平成22・23年度 複数事業所連携事業補助金」を受けて実施した研修の成果の一部をまとめたものである。
- 持ち上げない移動・移乗技術」の事例検討 −3年間の研修を通して有効とされた技術−
中山幸代、関根良子、小櫃芳江、西方規恵、浅井美千代、冨田川智志、増田いづみ、(社福)恵仁福祉協会アザレアンさなだ、(社福)かりがね福祉会、(社福)敬老園 第16回日本老年行動科学会愛媛大会、愛媛大学(2013)【要旨】
3年間(12回)の研修で事例検討を実施した結果、ベッド⇔車いすの移乗が重要な課題として毎回取りあげられた。本研究では、[1]利用者の参加を得て「ベッド⇔リクライニング型車いすへの移乗」の検討を行い有効な結果を得たこと、[2]「褥瘡予防の小枕の移動」を現場で実施したところ、褥瘡が治癒したとその有効性が認められたこと、の2点を報告した。
(「褥瘡予防の小枕の移動」については、ホームページの代表的な技術で紹介しているのでご覧いただきたい。) - 『持ち上げない移動・移乗技術』が利用者・介助者に与える影響
−「研修参加」「実践頻度」との相関−
冨田川智志、浅井美千代、中山幸代、関根良子、小櫃芳江、西方規恵、増田いづみ、(社福)恵仁福祉協会アザレアンさなだ、(社福)かりがね福祉会、(社福)敬老園 第16回日本老年行動科学会愛媛大会、愛媛大学(2013)【要旨】
「持ち上げない移動・移乗技術」の研修に参加したA県下の社会福祉法人3施設の介護等に従事する職員を対象に、本研修の効果を推測統計的手法により検証した結果、研修参加と本技術の実践頻度、本技術の実施頻度と身体負担、研修参加と利用者の反応、研修参加とアセスメント力に相関が認められた。このことから、持ち上げない移動・移乗技術の理論と技術の学びと実践の積み重ねが身体負担の軽減や利用者の良い反応、アセスメント力の向上に繋がることを論じた。
この調査は、A県「平成22〜24年度 複数事業所連携事業補助金」を受けて実施した研修の成果の一部をまとめたものである。
- 「持ち上げない移動・移乗技術」の普及における阻害因子の検証
冨田川智志、浅井美千代、中山幸代、小櫃芳江、西方規恵 第21回日本介護福祉学会大会、熊本学園大学(2013)【要旨】
「持ち上げない移動・移乗技術」の研修に参加したA県下の社会福祉法人3施設の介護等に従事する職員を対象に、本技術の普及における阻害因子を推測統計的手法により検証した結果、研修参加、本技術の実践頻度、勤続年数が少ない程、慣れた方法を選び、困った時のアドバイザー不在を懸念し、周りの目を気にしていたことが分かった。このことから、持ち上げない移乗・移乗技術が現場に広く普及・定着するには、組織的に長期的なプロジェクトを組み、各職場で絶えず本技術の事例検討を行うような取り組みが不可欠となることを論じた。
なお、この調査は、A県「平成22〜24年度 複数事業所連携事業補助金」を受けて実施した研修の成果の一部をまとめたものである。
- 「持ち上げない移動・移乗技術」の実践頻度と各技術項目・からだのメンテナンス・原理を活かす意識との相関
冨田川智志 浅井美千代 中山幸代 関根良子 小櫃芳江 西方規恵 増田いづみ
社会福祉法人恵仁福祉協会アザレアンさなだ、社会福祉法人かりがね福祉会、社会福祉法人敬老園
第17回日本老年行動科学会東京大会 明治学院大学(2014)【要旨】
本研究では、自記式質問紙調査を実施し、「持ち上げない移動・移乗技術」の実践頻度と技術項目、からだのメンテナンス、介助時の意識との相関を統計的手法を用いて分析した。その結果、持ち上げない移動・移乗技術は、介助者自身の腰痛予防に取り組む意識の強化、改訂された「職場における腰痛予防対策指針」にも示されているリスクアセスメントにも繋がることが明らかになった。
- 介護現場における「褥瘡予防の小枕の移動」技術の有効性 ―高齢者総合福祉施設の実践と効果の検証―
中山幸代 冨田川智志 西方規恵
第24回日本介護福祉教育学会 大宮ソニックシティ小ホール(2017)【要旨】
本研究は、A高齢者総合福祉施設における「褥瘡予防の小枕の移動」の実践結果について調査を行い、技術の効果を検証した。報告された7事例は、全員がターミナルケアの対象者で、要介護5、平均年齢94.0±4.0歳、「小枕の移動」の平均実施日数は98.0±72.5日など、褥瘡発症の危険性が極めて高い事例であった。しかし、同施設では、7名中5名は死亡時まで褥瘡が発生せず、「小枕の移動」実施前に発赤が見られた2名も、発赤が消退、あるいは発赤が改善するといった結果を得ていた。この結果から、2時間毎の体位変換と「小枕の移動」を併用することにより、体圧分散が頻回に図られ、褥瘡の予防や改善につながったものと考える。
また、「小枕の移動」技術が褥瘡予防のみならず、職員が頻回に訪室することによる利用者への心理的サポートや職員の観察力などの向上にも資することが示唆された。 - 冨田川智志「介護福祉士養成課程における腰痛予防のための労働衛生教育の現状と課題 ―単元「移動・移乗の介護」の講義・演習内容と移動・移乗補助具の設置数―」
第25回日本介護福祉教育学会、東北福祉大学(2018)【要旨】
本研究では、介護福祉士養成課程における「移動・移乗の介護」教育に着目し、腰痛予防のための労働衛生教育の現状と課題を明らかにするために、日本介護福祉士養成施設協会の会員名簿に掲載されている全養成課程において介護福祉士養成課程科目「生活支援技術」で単元「移動・移乗の介護」を担当している教員を研究対象とした無記名自記式による質問紙調査を実施した。その結果、介護福祉士養成課程全体で言えば、腰痛予防のための労働衛生教育は希薄であり、移動・移乗補助具の設置も整っているとは言えなかった。したがって、カリキュラムではより具体的な腰痛予防のための労働衛生教育の提示、設置指針では移動・移乗補助具の指定の検討や福祉用具専門業者との連携等が必要であると考える。
本研究は、JSPS科研費(若手研究(B)課題番号15K17240)を受けた研究成果の一部である。
- 冨田川智志「介護福祉士養成課程におけるノーリフティング教育(演習)内容の現状と課題」
第26回日本介護福祉学会大会、桃山学院大学(2018)【要旨】
本研究では、介護福祉士養成課程における単元「移動・移乗の介護」教育に着目し、抱上げない移動・移乗技術教育(演習)内容の現状と課題を明らかにするために、日本介護福祉士養成施設協会の会員名簿に掲載されている養成課程で介護福祉士養成課程科目「生活支援技術」の単元「移動・移乗の介護」を担当する教員とした質問紙調査を実施した。その結果、介護福祉士養成課程全体でみると、抱上げない移動・移乗技術の演習内容は希薄な状況であり、福祉用具専門職者との連携体制も整っているとは言えなかった。限られた時間数・指導者・環境の中で受講者全員に効果的な腰痛予防の知識・技術を習得させるには、国や教育・学術団体等による抱上げない移動・移乗技術教育の具体的方針や教育内容の提示、福祉用具専門職者との連携体制の構築、さらには担当教員の意識や知識が重要であると考える。
本研究は、JSPS科研費(若手研究(B)課題番号15K17240)を受けた研究成果の一部である。
- 冨田川智志「介護福祉士養成課程におけるノーリフティングケアへの意識改革の必要性 ―科目「生活支援技術」に着目して―」
第26回日本介護福祉教育学会、桃山学院大学(2019)【要旨】
本研究では、介護福祉士養成課程(養成課程)におけるNLCの教育内容と意識を明らかにするために質問紙調査を実施した。その結果、養成課程の現状は、ノーリフティングケアの教育は技術主導で、用具等を使った技術習得を目指しているとは言い難く、「移動・移乗の介護」の単元以外はノーリフティングケア教育がより実施されず方針の一貫性に欠けていると考えられた。
本研究は、JSPS科研費(若手研究(B)課題番号15K17240)を受けた研究成果の一部である。
- 冨田川智志「介護保険施設における介護職員の腰痛予防対策と介助方法の現状」
第27回日本介護福祉学会大会、静岡県立大学短期大学部(2019)【要旨】
本研究では、介護保険施設における介護職員の腰痛予防対策と介助方法の現状を明らかにすることを目的として、質問紙調査を実施した。結果、介護保険施設は、介護職員の腰痛予防対策として従来から実施されている対策、特に人力のみの介助をベースとした方法を中心としており、移動・移乗補助具の導入は発展途上、移乗補助機器の導入は進んでいない状況、移動・移乗補助具/機器が導入していても使用は徹底されておらず、腰痛対策指針も周知されていないことが示唆された。
本研究は、JSPS科研費(基盤研究(C)課題番号18K02175)を受けた研究成果の一部である。
- 冨田川智志「スタンディングマシーンの導入による介護老人福祉施設労働者の作業負担の変化と課題」
Safe Care Japan ノーリフトケア2020 国際シンポジウム、神戸メリケンパークオリエンタルホテル(2020)【要旨】
スタンディングマシーンの導入による介護老人福祉施設にて勤務する介護労働者の作業負担の変化と課題を明らかにすることを目的として、日勤及び遅出勤務帯の心拍数・活動強度の測定、質問紙調査を実施した。結果、スタンディングマシーン導入によって体感的に身体負担感の軽減を感じられ、介護労働者のエネルギー消費も減少する可能性が示唆された。一方で、作業の手間や時間、適用要介護者の選定の難しさ、使用環境の制限が、積極的なスタンディングマシーン使用に支障を来たしていた。介護労働者がノーリフティング原則や労働衛生マネジメントシステムを徹底するようになるには、専門家が継続的に介入し、指導していくシステムが必要であり、スタンディングマシーンの改良・操作方法の開発、適用利用者の選定・判断基準を記した明確なマニュアルも求められる。
本研究は、大阪ガスグループ福祉財団「平成28年度 高齢者の福祉および健康づくりに関する調査・研究助成」を受けた研究成果の一部である。
- 冨田川智志「介護労働における腰部筋負担の客観的評価 ―表面筋電図・上体傾斜角度の分析― 」第28回日本介護福祉教育学会、日本福祉大学(2020)
【要旨】
介護労働者の勤務(日勤帯)中における腰部筋負担の状態を客観的指標を用いて明らかにすることを目的として、腰部の表面筋電図・上体傾斜角度を調査し、代表的な事例を取り上げて報告した。調査の結果、介護労働者は、休憩を除いて腰部筋に持続的な筋負担がかかっており、蓄積的な筋疲労状態にあった。この状態では慢性痛を招く危険性があることが推察された。また、強い筋負担を伴う作業が頻出しており、筋損傷のリスクが高い状態にあった。本データは介護労働の作業管理を見直す根拠資料となる。
本研究は、JSPS科研費(基盤研究(C)課題番号18K02175)を受けた研究成果の一部である。
- 冨田川智志「リフトを使用した入浴介助における介助工程別身体的負担感と介助後の疲労感との関連」第29回日本介護福祉学会大会、神戸女子大学(オンライン)(2021)
【要旨】
作業関連性筋骨格系障害の原因は多要因であることから、抱え上げ等の身体的負荷の高い介助場面以外にも焦点を当て、局所的にリスク要因を特定することは非常に重要である。しかし、介助工程別に身体的負担感を分析した研究は極めて少ない。また、どの介助工程の身体的負担感が身体的あるいは神経的疲労感と関連しているのか分析した研究はない。そこで本研究では、入浴介助において身体的負担感がある介助工程とその部位、介助工程別に身体的負担感と入浴介助後の身体的・神経的疲労感との関連性を分析した。
結果、入浴介助では移乗介助以外の工程でも身体的負担を感じる状況にあり(特に腰)、入浴介助後の身体的・神経的疲労感との関連もあることが示唆された。
- 冨田川智志「リフトを使用した入浴介助が介護職員および利用者に与える効果 ―包括的主観的評価による検証―」第19回日本介護学会、オンデマンド(2021)
【要旨】
近年持ち上げない介護を積極的に実践している施設から、利用者の心身の活性化や褥瘡・拘縮等の予防効果について報告されている。しかし、それらの効果の全体像と各効果の程度を捉えるには、報告された効果内容を包括し、同じ尺度で評価する必要がある。そこで本研究では、文献等で報告されている効果を包括した調査項目でもって、入浴用リフトの使用による介護職員および利用者に与える効果とその程度を分析した。
結果、入浴時にリフトを使用することで、介護職員には身体負荷の低減に加え、精神・神経的負担感の軽減や介護の専門性の質向上に係る効果が、利用者にはリスク低減に加え、緊張緩和、姿勢改善、意欲を活性化させる効果が大いにある可能性が示唆された。

















